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国際女性デー2012 〜つながる輪ひろがる和〜

災害と女性 〜ともに歩む復興への道

共催:
男女共同参画センター横浜南(フォーラム南太田)
後援:
AWCアジアの女性と子どもネットワーク
FRNファイバーリサイクルネットワーク
神奈川新聞社
(社)国際女性教育振興会神奈川県支部
tvk(テレビ神奈川)
特定非営利活動法人WE21ジャパン
特定非営利活動法人UN Women日本国内委員会
横浜市市民局男女共同参画推進課
横浜市社会福祉協議会(50音順)
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 ステージ上の鎮魂の花

 

日本だけでなく、世界中に影響を及ぼした東日本大震災から一年。被災地からの報告者を迎え、鎮魂のリボンで飾られたミモザの花の下、亡くなられた方々への黙祷から会は始まりました。以下は3名の報告者の内容をまとめたものです。


第一部 被災地からの報告

■「被災女性のサロン活動」 草野祐子 みやぎジョネット事務局長


 草野祐子さん

「本震より余震で立ち上がれなくなった」「津波、塩害、大災害で何も無くなってしまった所に手向けられた生花」「避難所に入れず、壊れた家や車の中での生活」「地震や津波で助かっても、食べ物も衣服も無いために亡くなる人」等々の語りと映像の状況報告。みやぎジョネットでは、南三陸町のコミュニティー維持活動をしていた。この大惨事が発生し長期化しているなか、個人に届かない支援の解消を考えて行動を起こす。@緊急物資支援 A心のケアを目指すサロンの開設 B就労支援(PC教室 ホームヘルパー資格習得)の三本柱で、女性から女性へ、個から個へ、ゆったり長い伴走型、つまり「望まれるものをゆったりと」をモットーに活動を始める。必要とされる物資が届き、それをバックに詰め、この中に洗濯物を詰めて戻すよう伝えて手渡すと、その中にある化粧品を見つけ多くの方から大変喜ばれる。サロン開設にあたっては、そこに集うことは自由意志とし、ワークも選択肢を広げると共に、材料等の提供者の想いも必ず伝えるようにしてきた。専門家も混在し、あくまでも女性ならではの支援を考えて活動してきた。今後は女性の養成講座に力を注いでいきたいと語られた。

■「郡山からの報告 母と子のサポート」 宗形初枝 郡山医療介護病院看護部長


 宗形初枝さん

長年助産師として働いたが、仲間と共に「リプロダクティブ・ヘルスを考える会」を立ち上げ・小中高での性教育・子育て講座・若年妊婦出産サポート・行政主催子育て講座講師の活動をしていた。地震発生後は、原発の被災者支援に立ち上がる。県立高等学校体育館の避難者には、生後20日の乳児や妊娠している者、5歳の多動児を抱えた妊婦は4日間寝ていない厳しい状況。支援する看護師も我が子の被爆を考え避難したなかで、妊婦と母子のサポートにあたる。子育て講座でのママたちから「子どもが不安定になっていく」「8ヶ月間一度も外に出ていない」「公園を見て長男は遊びたいと言うが、2歳になる子は遊ぶ所とは知らない」の声に、自然災害と原発とは分けて考える必要があると痛感する。12月にドイツ研修に行き、原発を持つ国は対策があることを知る。日本の初期対応の甘さと、情報が隠され、何を信じていいのか不安の中、この福島で生活するか、避難するか、自分自身で選択して生きていかなければならない。「チェルノブイリは女たちを変えた」(社会思想社1989年)の著書で<子どもを進歩の生贄にさせない>の言葉がそのまま当てはまる。福島から学んでほしい。福島を繰り返さないでほしい。今後は、母子のサポートの中で身体的課題(線量測定・健康診断・食品の安全)と心理的課題解決に取り組みたいと熱く語った。

■「南相馬市での障害者支援活動」
 相川勇 横浜市社会福祉協議会障害者支援センター支援課職員


 相川勇さん

8月21日から1週間、南相馬市に障害者支援活動に入った。地域作業所「えんどう豆」の支援活動の様子を語る。知的、身体、発達障害の通所者9名は、室内作業で織物・缶バッチ作り・物品販売をしている。震災後5名が他所に避難し、職員も2名中1名避難で手薄な状況だった。通所者とは出来るだけ普通の会話をし、笑顔を引き出した。南相馬市は、障害者手帳所有者1139名に対する専門職員による訪問調査を行っていたが、今まで情報把握できていない6名中3名の訪問調査を行う。その結果、要援護者の情報の共有化や個別ニーズに基づく避難所での支援等を南相馬市長に提出する。障害者を抱える家族は、周囲に迷惑を及ぼすことに遠慮し避難できないことも大きな問題である。コミュニティーボード等を使って、日頃から地域とのつながりを密にしておくことが大切であると強調していた。

■参加者からの感想・質問・意見交換

何回か支援活動に入っている高校教師からの発言。現地の生活待遇改善に女子生徒らの気付きや提案が参考に加わった。高校生による読み聞かせをして、繋がりの大切さを学びとってくれた。その生徒たちには、自分の見てきたことや想いを一人が5人へ伝えようとよびかけている。 これに応じて報告者からの返答。高校生が支援活動に参加する事を奨励したい。被災者も心にふれて生きる意欲が蘇ることがある。支援が次の支援に繋がる。

その他、避難できない人や避難してきた人へのサポート体制、ゆっくり休める長期休暇をとらせたい。報道関係者の正しい現状認識と配慮への感想。心のケアの必要性、傾聴することが大事である。等々の意見交換がなされた。

報告者の言葉から、現状を何とかしたいという重みと熱意が直に伝わり、その内容に共感し今自分に出来ることは?を自問する息遣いが伝わってくる会場でした。今後の復興に対し、日頃目にしている報道や数字だけに捉われることなく、その奥に込められる想いに寄り添える柔軟さをもち続けることの大切さを知らされました。

第二部
交流会、グッズ販売

*WE21ジャパン *FRN ファイバーリサイクルネットワーク
*(社)国際女性教育振興会神奈川県支部 *チーム ピース チャレンジャー 
*手しごとサポート *まどか工房 *UN Womenよこはま(参加団体:50音順)

子どもたちを支援している6団体と被災地の品物が並ぶ中、飲み物を片手に各ブースで買い物をして和やかに交流しながらも、被災地報告の余韻を一人ひとりが、かみしめたひと時でした。



 参加団体のグッズ販売

今年の交流会では、参加団体の一言スピーチからも、それぞれが被災地とのつながりをもったことがうかがえました。被災地支援コーナーを設けた事も今年の特徴です。福島原発事故直後の記録した冊子、女川や南三陸の女性たちが願いを込めて作った草履やアクリルたわし、志津川高校生が地域巡回バスの購入目的のために作ったストラップ、南相馬市の8作業所が共同して作ったつながり缶バッジ、津波で店を流されてしまった南三陸の海苔などが所狭しと並べられ、大勢の方に買っていただきました。販売されている品物からも、被災地で女性たちが立ち上がり復興への道標となっていることが伝わります。 私たちにとっても他人事ではありません。今は被災地ではなくとも、遠くない将来、大地震が起きた時は同じ様な光景があり得ます。被災地の女性たちが元気に生産活動をしていることを参考に、私たちも何を実行して生活を成り立たせるか、大いに肝に命じる事案と考えさせられました。 閉会時には“ふるさと”を合唱し、改めて被災なさった方々への思いと関心をもち続けることの大切さを感じました。

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