HOME 国際女性デー2015 イラン映画「オフサイド・ガールズ」とトーク  〜女子力で社会を変える〜

国際女性デー2015イラン映画「オフサイド・ガールズ」とトーク  〜女子力で社会を変える〜

イラン映画「オフサイド・ガールズ」とトーク  〜女子力で社会を変える〜

2015年3月8日 会場:フォーラム南太田(男女共同参画センター横浜南)

主催:
国連ウィメン日本協会よこはま
共催:
男女共同参画センター横浜南
後援:
(特活)国連ウィメン日本協会
(一社)国際女性教育振興会神奈川県支部
神奈川新聞社
tvk(テレビ神奈川)
ちらし
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第一部 映画「オフサイド・ガールズ」とトーク

 今回は、第1部イラン映画「オフサイト・ガールズ」と山ア和美さん(横浜市立大学准教授)の「イラン映画に見る女性:イスラーム法に基づく社会規範と現状打破のための闘争」の内容です。
 映画は、数々の賞を受賞している名匠ジャファル・パナヒ監督の作品で、イランでもサッカーは国民的なスポーツですが、女性が男性のスポーツを公共の場で観戦することを禁じられています。2006年ワールドカップに出場の是非が決まる大事な試合を観戦するため、少女たちは様々な秘策で会場に潜り込みました。しかし、兵士たちに捕まり観衆の目に晒されない一箇所に集められ、歓声だけの悔しい思いをさせられます。そこで繰り広げられる、少女たちと警備を任された若い兵士との交流は、はらはらしながらも心温まる雰囲気が伝わってきました。切実なイランの女性問題を取り上げながらも、ユーモアと人間味溢れる映像で、第56回ベルリン国際映画祭銀熊賞(審査員特別賞)を受賞しました。

 サッカー場に入ろうと男装した少女たち「オフサイド・ガールズ」から
  山ア和美さんのトークは、映画に登場する人物の背景を糸口に、「イランの紹介」「イスラーム地域の女性は抑圧されている?」「イスラーム法に基づく社会規範」「現状打破のための闘争」の内容で進められました。

 イランの人々について熱く語る山ア和美さん

  イランは、多民族、多宗教、多言語、環境の多様性と、中東社会の縮図とか文明の十字路と言われています。ペルシャ人が50%でペルシャ語が公用語とされ、宗教ではシーア派十二イマーム派が90%を占め、古くから都市社会が発展し、知識人も多く豊かな文化を育んできました。
  この映画のみならずイスラーム地域の女性は抑圧されている?と思われるのは、「シャリーア(イスラーム法)」が影響しています。「シャリーア」とはコーランなどから導かれる「神の命令」であり、人間はその法に服従すれば救われる、という教えです。シャリーアにより正当化されるのが男女の空間分離と性的名誉規範です。これは、元来地域の因習であったものを、後世のイスラーム法学者が性的名誉を守る(姦通を防ぐ)として正当化しました。シャリーアに厳格な立場は、女性は男性を誘惑する危険な存在とし、女性の顔や髪の毛等をヴェールで被い男性からの性的虐待の対象とならないようにして女性の名誉を守るよう主張します。これに対し、男性が女性の誘惑に負けて罪を犯さない配慮から生まれたこれらの規範は男性を守るものだと主張する立場もあります。
  長い歴史の中、様々な権力闘争継続の結果、国王の独裁と欧米主義に抵抗して、イラン型大衆運動が起こり、その中でも女性たちは愛国主義的運動に積極的に参加しています。都市と農村の格差、改革派と保守派の隔絶などが複雑に絡み合い、一言では言い尽くせない理想と現実のギャップが生まれているのです。イラン革命(1979年)後イラン・イスラーム共和国の新しい政府は、公の場でヒジャーブ(ヴェール)着用を強制しました。ヴェールを着用していれば公的な場に出られることで、女子の就学率向上や高学歴化、社会進出も顕著となりました。つまり現在の イラン女性たちは、多くの制約がある中で、一部では妥協しながらもその枠内で、精一杯自己表現しています。

 満席の会場

  今回のトークは、イスラーム圏への関心が高まっているこの時期に、様々な方向から解説し、多様性のある見方考え方を示唆していただきました。満席になるほどの参加者にとり、今後中東社会の理解が深まる良い機会となったことでしょう。 

第二部 交流会  協力団体の手作り品の販売と交流

出店団体
 *アジアの女性と子どもネットワーク
 *(特活)WE21ジャパンみなみ
 *ファイバーリサイクルネットワーク
 *チームピースチャレンジャー
 *(一社)国際女性教育振興会神奈川県支部
  *地域活動支援センターぽれぽれ
 *国連ウィメン日本協会よこはま


 買い物を楽しむ参加者

 映画とトークの後は恒例の買い物と交流タイム。今回も地域に根ざした団体が出店してくださいました。それぞれ自慢の手作り品が並び、被災地支援の海産物も好評でした。
 講師の周りには話しかける人が続き、今回のテーマの関心の高さを伺わせました。また初めて車いすで参加された方があり、嬉しい出来事でした。

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